AI時代にWordPressはどうなるのか:Webの4割の現在地
このブログは、WordPressで作っていません。静的サイトジェネレーターとGitで動いています。10年前の筆者なら、ブログを作るといえば迷わずWordPressを選んでいたはずです。ところが今回は、選択肢にすら挙がりませんでした。AIに文章もコードも任せられるようになった今、あの「Webの王様」はどういう立ち位置にいるのか。気になったので、統計と公式発表を確かめてみました。
WordPressは今も全Webサイトの4割を支えつつ、生成AIを本体に取り込む方向へ大きく舵を切っています。
数字で見る現在地:「Webの4割」は本当か
調査会社W3Techsの統計によれば、2026年8月時点でWordPressは全Webサイトの41.2%で使われており、CMS市場でのシェアは59.1%です※1。日本語のサイトに限ると偏りはさらに強く、CMS市場の82.8%をWordPressが占めています※2。「Webの4割」という有名な看板は、今も概ね事実でした。
ただし、推移を見ると印象が少し変わります※3。
| 時点 | 全Webサイトに占めるWordPress利用率 |
|---|---|
| 2020年1月 | 35.4% |
| 2021年1月 | 39.5% |
| 2022年1月 | 43.2% |
| 2023年1月 | 43.1% |
| 2024年1月 | 43.1% |
| 2025年1月 | 43.6% |
| 2026年1月 | 43.0% |
| 2026年8月 | 41.2% |
2022年ごろまでの急成長が43%前後で頭打ちになり、2026年に入ってから8か月で1.8ポイント下がっています※1※3。この下げをどう読むか。生成AIの影響だと言いたくなりますが、原因を示すデータは見つけられませんでした。測定方法や母数の変化かもしれず、ここは断定しないでおきます。
WordPress本体は、AIの「土台」になろうとしている
シェアの数字より面白かったのは、WordPress側の動きです。2025年5月、WordPress.orgは公式のAIチーム発足を発表しました※4。Automattic、Google、10upの担当者で構成され、AI機能の乱立を防ぎながらエコシステム全体のAIプロジェクトを調整する、という位置づけです※4。
このチームは半年間で、個別のAI機能ではなく基盤づくりに徹しました。AIプロバイダーと接続するための共通SDK、サイトの機能をAIから呼び出せるようにする「Abilities API」、WordPressをAIエージェントの操作対象にする「MCP Adapter」などです※5。
そして2026年5月20日にリリースされたWordPress 7.0「Armstrong」で、この基盤が本体に載りました※6。生成AIモデルと通信するAI Clientと、Abilities APIがコアに統合され、文章生成や画像編集といった目に見える機能は、必要な人がプラグインとして追加する設計になっています※6。リリースから3か月足らずで、WordPressサイトの54.5%がすでに7系を使っています※1。
発表を読み込んで浮かんだ構図はこうです。WordPressは「AIでサイトを作る道具」を目指すより先に、「AIがサイトを操作するための土台」になろうとしている。チャットボットを載せるのではなく、配管を通す。地味ですが、4割のシェアを持つ側の戦い方に見えます。
「話すだけでサイトができる」は、すでに現実
一方、対話型のサイト生成も公式に始まっています。WordPress.com(運営元は前述のAutomattic)は2025年4月にAIサイトビルダーを公開しました※7。作りたいサイトの説明を入力すると、文章・レイアウト・画像込みのサイト一式が即座に生成され、チャットで修正を指示できます※7。
もっとも、公式ページは制約も正直に書いています。使えるのは新規サイトのみで、ECサイトや複雑な連携が必要なサイトには「まだ対応できない」とあります※7。無料で試せるのは30プロンプトまでで、その先は有料プランが必要です※7。「話すだけで完成」はキャッチコピーとしては本当ですが、適用範囲はまだ限られている、というのが2026年時点の等身大のようです。
余談ですが、この記事を書くまで筆者は「AIサイトビルダーはWordPressの敵」だと思い込んでいました。実際には、その代表格のひとつをWordPressの運営元自身が出している。敵どころか本人でした。
調べても分からなかったこと
- 2026年に入ってからのシェア微減(1月43.0%→8月41.2%)の原因。AIツールへの流出なのか、統計の測定要因なのか、判断できる材料が見つかりませんでした。
- AIサイトビルダー経由で作られたサイトがどのくらい存在するのか。公表されている統計にはたどり着けませんでした。
この2点は、データが見つかり次第追記します。
まとめ:「AI対WordPress」ではなかった
調べる前の筆者は、「AIの進化でWordPressは要らなくなるのでは」という対決の図式を思い描いていました。数字と公式発表を確かめた後の風景は違います。
- シェアは全Webの41.2%、日本語圏ではCMSの8割超。牙城は健在です※1※2
- 本体は2026年のバージョン7.0で、AIと接続する基盤をコアに組み込みました※6
- 運営元自身が、対話だけでサイトを生成するビルダーを提供しています※7
つまり現時点の実像は、AIに攻められるWordPressではなく、AIを飲み込みにいくWordPressでした。それでも筆者は、次のサイトもたぶんWordPress以外で作ります。個人の小さなサイトにとって、選択肢が増えたことだけは確かです。2026年のわずかな数字の下げが、数年後に振り返ったとき転換点だったのかどうか。答え合わせは、この記事の追記でやるつもりです。
参考文献・出典
※1 : 「Usage Statistics and Market Share of WordPress, August 2026」 |W3Techs https://w3techs.com/technologies/details/cm-wordpress
※2 : 「Distribution of Content Management Systems among websites that use Japanese」 |W3Techs https://w3techs.com/technologies/segmentation/cl-ja-/content_management
※3 : 「Historical yearly trends in the usage statistics of content management systems」 |W3Techs https://w3techs.com/technologies/history_overview/content_management/all/y
※4 : 「Announcing the Formation of the WordPress AI Team」 |WordPress News https://wordpress.org/news/2025/05/announcing-the-formation-of-the-wordpress-ai-team/
※5 : 「Six Months of Core AI: From Building Blocks to Core Release」 |Make WordPress(WordPress AI) https://make.wordpress.org/ai/2025/12/03/six-months-of-core-ai/
※6 : 「WordPress 7.0 “Armstrong”」 |WordPress News https://wordpress.org/news/2026/05/armstrong/
※7 : 「Just Say the Word—Try Our New AI Website Builder」 |WordPress.com Blog https://wordpress.com/blog/2025/04/09/ai-website-builder/
よくある質問
WordPressのシェアは今どのくらいですか?
調査会社W3Techsの2026年8月時点の統計で、全Webサイトの41.2%、CMS利用サイトの59.1%を占めています。日本語のサイトに限ると、CMS市場の82.8%がWordPressです。
WordPressはAIに置き換えられますか?
少なくとも現時点の公式の動きは「置き換え」ではなく「統合」です。2026年5月のWordPress 7.0では、生成AIと接続するための基盤(AI ClientとAbilities API)が本体に搭載されました。文章生成などの機能はプラグインとして追加する設計です。将来については断定できません。
AIでWordPressサイトを自動で作れますか?
WordPress.comのAIサイトビルダーを使うと、サイトの説明を入力するだけで文章・レイアウト・画像込みのサイト一式が生成されます。30プロンプトまで無料で試せますが、新規サイト限定で、ECサイトや複雑な連携には未対応です(2026年時点の公式情報)。